Google広告のレポート作成|クライアントに報告する方法
導入
「Google広告のレポートをどう作成すればいいか分からない」「クライアントに分かりやすく成果を伝えるのが難しい」という悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
レポート作成は、広告運用において非常に重要な業務です。適切なレポートは、単に数字を並べるだけでなく、成果を分かりやすく伝え、次のアクションに繋がる洞察を提供するものです。
クライアントや社内の関係者は、必ずしも広告運用の専門家ではありません。そのため、専門用語を避け、ビジネス成果に紐づいた分かりやすい説明が求められます。
この記事では、レポートの目的から、押さえるべき主要指標、効果的なレポート構成、そして改善提案の方法まで、クライアントに価値を提供するレポート作成のノウハウを詳しく解説していきます。
レポートの目的
レポートを作成する前に、その目的を明確にすることが重要です。
レポートの3つの目的
1. 成果の可視化
広告運用の成果を数値で明確に示します。投資した広告費用がどれだけの成果(売上、問い合わせ、認知など)に繋がったかを可視化することで、広告の価値を証明します。
2. 課題と機会の特定
現状のパフォーマンスを分析し、改善すべき課題や、さらに伸ばせる機会を特定します。データに基づいた客観的な分析により、次のアクションの根拠を示します。
3. 次のアクションの提案
分析結果に基づいて、具体的な改善施策を提案します。レポートは単なる結果報告ではなく、次の行動に繋げるためのコミュニケーションツールです。
レポートの種類と頻度
日次レポート
毎日の配信状況を確認するためのシンプルなレポートです。
含める内容:
- 広告費用
- インプレッション数
- クリック数
- コンバージョン数
- 前日比、目標比
週次レポート
1週間の傾向を把握するためのレポートです。
含める内容:
- 主要KPIの推移
- 曜日別のパフォーマンス
- 特筆すべき変動とその要因
- 翌週の予定・対応
月次レポート
月間の成果をまとめ、詳細な分析と改善提案を行うレポートです。
含める内容:
- 月間サマリー
- 目標達成状況
- 詳細な分析(キャンペーン別、キーワード別など)
- 改善施策の結果
- 次月の施策提案
レポートの受け手を意識する
レポートの内容は、受け手によって調整する必要があります。
経営層向け
- ビジネス成果(売上、ROI)を中心に
- 簡潔なサマリー
- 大きなトレンドと結論
マーケティング担当者向け
- 詳細な施策の結果
- 改善の機会
- 次のアクションプラン
運用担当者向け
- 技術的な詳細
- 個別キーワードやクリエイティブの分析
- 具体的な最適化ポイント
主要指標
レポートに含めるべき主要な指標を理解しましょう。
配信指標
インプレッション数(Imp)
広告が表示された回数です。認知拡大の観点で重要な指標です。
クリック数
広告がクリックされた回数です。サイトへのトラフィックを示します。
クリック率(CTR)
クリック数 ÷ インプレッション数 × 100
広告の魅力度を示す指標です。業界やキャンペーンタイプによって平均値は異なりますが、検索広告では2〜5%程度が一般的です。
平均クリック単価(CPC)
広告費用 ÷ クリック数
1クリックあたりのコストです。競合状況や品質スコアによって変動します。
コンバージョン指標
コンバージョン数(CV)
広告経由で発生した成果の数です。購入、問い合わせ、資料請求などを計測します。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100
クリックしたユーザーのうち、コンバージョンに至った割合です。ランディングページの効果を測る指標でもあります。
顧客獲得単価(CPA)
広告費用 ÷ コンバージョン数
1件のコンバージョンを獲得するためにかかったコストです。効率性を測る重要な指標です。
コンバージョン値
コンバージョンによって得られた金銭的価値です。ECサイトでは売上金額、リード獲得では推定のリード価値などを設定します。
収益性指標
ROAS(広告費用対効果)
コンバージョン値 ÷ 広告費用 × 100
広告費用に対してどれだけの売上を獲得できたかを示す指標です。例えば、ROAS 300%であれば、広告費用の3倍の売上を獲得できたことを意味します。
ROI(投資利益率)
(利益 - 広告費用)÷ 広告費用 × 100
広告投資によってどれだけの利益を得られたかを示す指標です。ROASと異なり、売上ではなく利益で計算します。
その他の重要指標
インプレッションシェア
獲得できたインプレッション ÷ 獲得可能だったインプレッション × 100
市場における自社広告のシェアを示します。予算や入札単価の不足で機会損失が発生していないかを確認できます。
品質スコア
キーワードごとの広告品質の指標(1〜10)。品質スコアが低いと、クリック単価が上昇し、掲載順位が下がります。
ビュースルーコンバージョン
広告を見た(クリックしていない)ユーザーが、後日コンバージョンした数です。ディスプレイ広告やYouTube広告の間接的な効果を測定できます。
指標の関係性
主要指標は相互に関連しています。全体像を把握するために、以下の関係性を理解しておきましょう。
広告費用 = クリック数 × CPC 売上 = コンバージョン数 × 平均購入金額 CPA = CPC ÷ CVR ROAS = 平均購入金額 × CVR ÷ CPC × 100
これらの関係性を理解することで、どの指標を改善すれば全体のパフォーマンスが向上するかを分析できます。
レポート構成
効果的なレポートの構成を解説します。
基本構成
1. エグゼクティブサマリー
レポートの冒頭に、最も重要な情報をまとめます。
含める内容:
- 期間
- 主要KPIの結果と目標比
- 最も重要なトピック(成果、課題)
- 結論・推奨アクション
サマリーだけで全体像が把握できるよう、簡潔にまとめましょう。
2. 全体パフォーマンス
期間全体のパフォーマンスを示します。
含める内容:
- 主要指標の一覧表
- 前月比、前年比、目標比
- 推移グラフ
視覚的に分かりやすいグラフや表を活用し、傾向を一目で把握できるようにします。
3. キャンペーン別分析
キャンペーンごとのパフォーマンスを詳細に分析します。
含める内容:
- 各キャンペーンの主要指標
- パフォーマンスの良かったキャンペーン
- 改善が必要なキャンペーン
- キャンペーンごとの施策結果
4. 詳細分析
必要に応じて、より詳細な分析を行います。
分析の切り口:
- キーワード別
- 広告文別
- デバイス別
- 地域別
- 時間帯・曜日別
- オーディエンス別
5. 実施施策の報告
期間中に実施した施策とその結果を報告します。
含める内容:
- 実施した施策の内容
- 施策の目的
- 結果(数値での効果測定)
- 今後の方針
6. 課題と改善提案
分析結果に基づき、課題と改善提案をまとめます。
含める内容:
- 特定された課題
- 改善施策の提案
- 期待される効果
- 実施スケジュール
レポート作成のツール
Google広告の標準レポート
Google広告の管理画面から、定型レポートを作成・スケジュール配信できます。
作成方法:
- 「レポート」→「レポート」を選択
- 「+カスタム」でレポートを作成
- 表、グラフ、指標を選択
- スケジュール配信を設定(オプション)
Looker Studio(旧データポータル)
Googleが提供する無料のBIツールです。Google広告やGA4のデータを視覚的なダッシュボードで表示できます。
メリット:
- リアルタイムでデータ更新
- カスタマイズ可能なビジュアル
- 複数のデータソースを統合
- URLで共有可能
Excel / Google スプレッドシート
カスタマイズ性が高く、独自の分析やレポート形式を作成できます。
メリット:
- 柔軟なカスタマイズ
- 独自の計算式
- クライアントの要望に合わせた形式
レポートを見やすくするポイント
1. 視覚的な要素を活用
- グラフで傾向を示す
- 表で詳細データを整理
- 色分けで良好/要改善を示す
- 矢印で増減を示す
2. 情報の優先順位をつける
- 重要な情報を先に配置
- 詳細は後半や別ページに
- サマリーで結論を先に伝える
3. 専門用語を避ける
- CTR → クリック率
- CPA → 獲得単価
- CVR → コンバージョン率
クライアントが理解しやすい言葉を使いましょう。
4. コメントを添える
数字だけでなく、その数字が意味すること、なぜその結果になったかのコメントを添えます。
例: 「CTRが先月比+0.5%向上しました。これは、広告文に具体的な数字(満足度98%)を追加した効果と考えられます。」
改善提案
レポートの価値を高める改善提案の方法を解説します。
課題の特定方法
1. 目標との比較
設定したKPI目標と実績を比較し、未達成の項目を特定します。
例:
- 目標CPA 5,000円 → 実績 6,500円(+30%)
- 目標CV 100件 → 実績 85件(-15%)
2. 前期との比較
前月、前年同月と比較し、パフォーマンスの変化を特定します。
例:
- CTRが前月比-0.5%低下
- CPCが前年比+20%上昇
3. 業界平均との比較
業界の平均値やベンチマークと比較し、改善の余地を特定します。
4. キャンペーン間の比較
キャンペーンごとのパフォーマンスを比較し、効率の悪いキャンペーンを特定します。
改善提案のフレームワーク
課題を特定したら、以下のフレームワークで改善提案をまとめます。
1. 現状(As-Is)
現在の状況を数値で示します。
例:「現在のCPAは6,500円で、目標の5,000円を30%上回っています。」
2. 原因(Why)
パフォーマンス低下の原因を分析します。
例:「原因を分析したところ、キーワードAのCPAが12,000円と高騰しており、全体のCPAを押し上げていることが判明しました。」
3. 提案(Recommendation)
具体的な改善施策を提案します。
例:「キーワードAの入札単価を20%引き下げ、代わりに効率の良いキーワードBへの予算配分を増やすことを提案します。」
4. 期待効果(Expected Outcome)
施策を実施した場合の期待効果を示します。
例:「この施策により、CPAを15%改善し、5,500円程度に抑えられると見込んでいます。」
改善提案の例
CTRが低い場合
課題:検索広告のCTRが業界平均の2.5%を下回る1.8%
提案:
- 広告文の見出しにキーワードを含める
- 具体的な数字(実績、価格、割引)を追加
- 広告表示オプション(サイトリンク、コールアウト)を充実
期待効果:CTR 2.5%以上への改善
CVRが低い場合
課題:ランディングページのCVRが1.2%と低迷
提案:
- ファーストビューにCTAボタンを配置
- フォームの入力項目を削減
- 信頼性を示す要素(実績、口コミ)を追加
期待効果:CVR 2.0%以上への改善
CPAが高い場合
課題:目標CPA 5,000円に対し、実績が7,000円
提案:
- パフォーマンスの低いキーワードを停止
- 入札戦略を「目標CPA」に変更
- リマーケティングキャンペーンの強化
期待効果:CPA 5,500円以下への改善
提案時の注意点
1. 優先順位をつける
すべての課題を一度に解決しようとせず、インパクトの大きいものから優先順位をつけて提案します。
2. 根拠を示す
提案には必ずデータに基づく根拠を示します。「なんとなく」ではなく、「データによると〇〇なので」という説明が信頼を得ます。
3. リスクも伝える
施策のリスクや、期待通りにいかない可能性についても正直に伝えます。
例:「入札単価を下げることで、インプレッション数が減少する可能性があります。」
4. 次回レポートで結果を報告
提案した施策の結果を次回レポートで必ず報告します。PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善を実現します。
まとめ
Google広告のレポート作成は、成果を伝えるだけでなく、次のアクションに繋げるための重要なコミュニケーションです。この記事のポイントを振り返ると:
-
レポートの目的を明確にする:
- 成果の可視化
- 課題と機会の特定
- 次のアクションの提案
-
主要指標を正しく理解する:
- 配信指標(Imp、クリック、CTR、CPC)
- コンバージョン指標(CV、CVR、CPA)
- 収益性指標(ROAS、ROI)
-
効果的な構成でレポートを作成する:
- エグゼクティブサマリーで結論を先に
- 全体から詳細への流れ
- 視覚的に分かりやすく
- 専門用語を避ける
-
データに基づいた改善提案を行う:
- 課題を特定する
- 原因を分析する
- 具体的な施策を提案する
- 期待効果を示す
-
継続的な改善サイクルを回す:
- 提案した施策を実行
- 結果を次回レポートで報告
- 新たな課題を特定し改善
レポートは、クライアントとの信頼関係を構築するための重要なタッチポイントです。数字を並べるだけでなく、その数字が何を意味し、次に何をすべきかを明確に伝えることで、クライアントから信頼されるパートナーになることができます。
この記事を参考に、価値あるレポートを作成し、Google広告運用の成果を最大化してください。