Google広告のアカウント構造|効率的な管理方法
導入
「Google広告のキャンペーンや広告グループをどう整理すればいいか分からない」「アカウントが複雑になりすぎて管理が大変」という悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
アカウント構造は、Google広告運用の土台となる重要な要素です。適切なアカウント構造を設計することで、予算管理がしやすくなり、パフォーマンスの分析や最適化も効率的に行えるようになります。
逆に、アカウント構造が乱雑だと、どのキャンペーンにどれだけの予算を使っているのか把握できず、効果的な改善施策も打ちにくくなります。また、機械学習を活用した自動入札の効果も十分に発揮できません。
この記事では、Google広告のアカウント構造の基本から、効果的なキャンペーン設計・広告グループ設計の方法、そして管理を効率化する命名規則まで、詳しく解説していきます。
アカウント構造の基本
Google広告のアカウントは、階層構造で構成されています。
アカウントの階層構造
Google広告のアカウントは、以下の4つの階層で構成されています。
アカウント ↓ キャンペーン ↓ 広告グループ ↓ 広告・キーワード
アカウント
Google広告の最上位の単位です。1つのメールアドレス(Googleアカウント)に紐づきます。
設定できる項目:
- 支払い情報
- ユーザーアクセス権限
- 通知設定
- コンバージョン設定
キャンペーン
アカウントの下にある、予算や配信設定を管理する単位です。
設定できる項目:
- キャンペーンタイプ(検索、ディスプレイ、動画など)
- 日予算
- 入札戦略
- 配信地域・言語
- 配信スケジュール
- ターゲティング設定
広告グループ
キャンペーンの下にある、広告とキーワードをまとめる単位です。
設定できる項目:
- 広告グループの入札単価
- キーワード
- 広告(テキスト、画像など)
- ターゲティング(ディスプレイの場合)
広告・キーワード
最も下位の単位です。実際にユーザーに表示される広告と、広告を表示するトリガーとなるキーワードです。
各階層の役割
| 階層 | 主な役割 | 設定の例 |
|---|---|---|
| アカウント | 全体の管理 | 支払い、ユーザー権限 |
| キャンペーン | 予算・目標の管理 | 日予算、入札戦略、地域 |
| 広告グループ | テーマ・訴求の管理 | キーワード群、広告文 |
| 広告・キーワード | 実際の配信 | 個別の広告、キーワード |
良いアカウント構造のメリット
1. 予算管理がしやすい
キャンペーン単位で予算を設定するため、目的別・商品別に予算を明確に分けられます。
2. パフォーマンス分析がしやすい
論理的に構造化されていると、どのセグメントが効果的かを容易に分析できます。
3. 最適化がしやすい
関連性の高いキーワードと広告をグループ化することで、品質スコアが向上し、効率的な運用が可能になります。
4. 自動入札の効果が高まる
適切な粒度でデータが蓄積されるため、機械学習が効果的に機能します。
5. スケールしやすい
ルールに基づいた構造であれば、新しいキャンペーンや広告グループの追加が容易になります。
キャンペーン設計
キャンペーンの設計方法を解説します。
キャンペーンを分ける基準
キャンペーンを分ける主な基準は以下の通りです。
1. キャンペーンタイプ別
Google広告の異なるキャンペーンタイプは、同じキャンペーン内に混在できません。
- 検索キャンペーン
- ディスプレイキャンペーン
- 動画キャンペーン
- ショッピングキャンペーン
- P-MAXキャンペーン
2. 目的・目標別
異なる目的を持つ広告は、別のキャンペーンで管理します。
例:
- ブランド認知キャンペーン(目標:インプレッション)
- コンバージョン獲得キャンペーン(目標:CPA)
- リマーケティングキャンペーン(目標:再訪問促進)
3. 予算別
予算配分を明確に分けたい場合、キャンペーンを分けます。
例:
- 主力商品キャンペーン(予算:大)
- 新商品キャンペーン(予算:中)
- テストキャンペーン(予算:小)
4. 地域別
地域ごとに戦略や予算を変えたい場合、キャンペーンを分けます。
例:
- 関東キャンペーン
- 関西キャンペーン
- その他地域キャンペーン
5. 商品・サービスカテゴリ別
異なる商品やサービスは、別のキャンペーンで管理することで、予算やパフォーマンスを個別に管理できます。
例(ECサイト):
- メンズファッションキャンペーン
- レディースファッションキャンペーン
- アクセサリーキャンペーン
6. ブランドキーワード vs 一般キーワード
自社ブランド名のキーワードと、一般的なキーワードは、パフォーマンスが大きく異なるため、分けて管理することをお勧めします。
例:
- ブランドキャンペーン(自社名、商品名)
- 一般キャンペーン(業界用語、競合名など)
キャンペーン設計の例
例1:ECサイトの場合
アカウント
├── [検索] ブランドキーワード
├── [検索] メンズファッション
├── [検索] レディースファッション
├── [検索] セール・キャンペーン
├── [ディスプレイ] リマーケティング
├── [ディスプレイ] 認知拡大
├── [ショッピング] 全商品
└── [P-MAX] 自動配信
例2:BtoB サービスの場合
アカウント
├── [検索] ブランドキーワード
├── [検索] サービスA
├── [検索] サービスB
├── [検索] 競合キーワード
├── [ディスプレイ] リマーケティング
├── [動画] 認知・ブランディング
└── [P-MAX] リード獲得
例3:地域密着型ビジネスの場合
アカウント
├── [検索] 東京エリア
├── [検索] 神奈川エリア
├── [検索] 千葉エリア
├── [検索] 埼玉エリア
├── [ディスプレイ] リマーケティング(全エリア)
└── [ディスプレイ] 認知拡大(全エリア)
キャンペーン設計の注意点
1. キャンペーンを分けすぎない
キャンペーンを細かく分けすぎると、各キャンペーンのデータ量が少なくなり、自動入札の学習が進みにくくなります。特に予算が限られている場合は、必要最小限のキャンペーン数に抑えましょう。
2. データの統合を意識する
関連性の高いキャンペーンはまとめることで、データを統合し、より効果的な最適化が可能になります。
3. 将来の拡張を考慮する
新しい商品やサービスが追加された場合に、スムーズに拡張できる構造を意識しましょう。
広告グループ設計
広告グループの設計方法を解説します。
広告グループを分ける基準
広告グループは、「関連性」を軸に設計します。キーワードと広告文の関連性が高いほど、品質スコアが向上し、効率的な運用が可能になります。
1. テーマ・キーワード群別
同じ検索意図を持つキーワードを1つの広告グループにまとめます。
例(オンライン英会話の場合):
- 「オンライン英会話」グループ
- 「ビジネス英会話」グループ
- 「英会話 初心者」グループ
- 「英会話 子供」グループ
2. 商品・サービス別
異なる商品やサービスは、別の広告グループで管理します。
例(旅行サイトの場合):
- 「国内ツアー」グループ
- 「海外ツアー」グループ
- 「航空券」グループ
- 「ホテル」グループ
3. ユーザーの検索意図別
同じ商品でも、検索意図が異なる場合は広告グループを分けます。
例:
- 「〇〇 購入」グループ(購入意図)
- 「〇〇 比較」グループ(比較検討)
- 「〇〇 口コミ」グループ(情報収集)
広告グループ設計の例
例1:オンライン英会話サービス
キャンペーン:[検索] 一般キーワード
├── AG: オンライン英会話
│ ├── KW: オンライン英会話
│ ├── KW: オンライン英会話 おすすめ
│ └── KW: ネット英会話
├── AG: ビジネス英会話
│ ├── KW: ビジネス英会話
│ ├── KW: ビジネス英語 オンライン
│ └── KW: 仕事 英会話
├── AG: 初心者向け
│ ├── KW: 英会話 初心者
│ ├── KW: 英会話 入門
│ └── KW: 英会話 始め方
└── AG: 子供向け
├── KW: 子供 英会話
├── KW: キッズ英会話 オンライン
└── KW: 子ども 英語学習
例2:ECサイト(ファッション)
キャンペーン:[検索] メンズファッション
├── AG: Tシャツ
│ ├── KW: メンズ Tシャツ
│ ├── KW: Tシャツ 通販
│ └── KW: Tシャツ おしゃれ
├── AG: ジーンズ
│ ├── KW: メンズ ジーンズ
│ ├── KW: デニム メンズ
│ └── KW: ジーンズ 通販
├── AG: ジャケット
│ ├── KW: メンズ ジャケット
│ ├── KW: アウター 通販
│ └── KW: ジャケット おすすめ
└── AG: 靴
├── KW: メンズ 靴 通販
├── KW: スニーカー メンズ
└── KW: 革靴 おすすめ
広告グループ内のキーワード数
1つの広告グループに含めるキーワードの数は、10〜30個程度が目安です。
キーワードが少なすぎる場合:
- データが分散し、最適化が難しくなる
- 管理するグループ数が増える
キーワードが多すぎる場合:
- すべてのキーワードに関連性の高い広告文を作成できない
- 品質スコアが低下する可能性
広告グループ設計の注意点
1. 関連性を重視する
広告グループ内のキーワードは、すべて同じ広告文で適切に訴求できる程度の関連性が必要です。関連性が低いキーワードは、別の広告グループに分けましょう。
2. 広告文をキーワードに合わせる
広告グループごとに、そのキーワード群に最適化された広告文を作成します。キーワードが広告文に含まれていると、品質スコアが向上します。
3. レスポンシブ検索広告を活用する
レスポンシブ検索広告では、複数の見出しと説明文を登録し、機械学習が最適な組み合わせを選択します。各広告グループで十分なバリエーションを用意しましょう。
命名規則
効率的なアカウント管理のために、一貫性のある命名規則を設定しましょう。
命名規則の重要性
1. 管理の効率化
一貫した命名規則があれば、キャンペーンや広告グループを一目で識別でき、管理が効率化されます。
2. フィルタリングの容易さ
命名規則に沿った名前をつけることで、管理画面でのフィルタリングや検索が容易になります。
3. チーム間の共有
複数人で運用する場合、命名規則があれば誰が見ても内容を理解できます。
4. レポート作成の効率化
規則的な命名により、レポート作成時のデータ抽出や集計が効率化されます。
命名規則の設計方法
命名規則は、以下の要素を組み合わせて設計します。
含めるべき情報:
- キャンペーンタイプ(検索、ディスプレイなど)
- ターゲット(地域、言語、デバイスなど)
- 商品・サービスカテゴリ
- 目的(認知、獲得など)
- その他の区分(ブランド、一般など)
区切り文字:
- アンダースコア(_)
- ハイフン(-)
- パイプ(|)
- スラッシュ(/)
命名規則の例
キャンペーン名の例
形式:[タイプ][対象][カテゴリ]_[目的]
例:
Search_JP_Brand_ConversionSearch_JP_General_ConversionDisplay_JP_Remarketing_ConversionVideo_JP_Branding_AwarenessPMax_JP_All_Conversion
日本語の場合:
検索_日本_ブランド_CV獲得検索_日本_一般_CV獲得ディスプレイ_日本_リマケ_CV獲得動画_日本_認知_リーチ
広告グループ名の例
形式:[商品/テーマ]_[詳細]
例:
オンライン英会話_一般オンライン英会話_おすすめビジネス英会話_一般初心者_英会話_始め方
広告名の例
形式:[訴求ポイント]_[バージョン]
例:
価格訴求_v1価格訴求_v2品質訴求_v1限定訴求_v1
命名規則のベストプラクティス
1. シンプルに保つ
情報を詰め込みすぎると、名前が長くなりすぎて読みにくくなります。必要最小限の情報に絞りましょう。
2. 一貫性を維持する
一度決めた命名規則は、全員が守るようにルール化します。例外を作らないことが重要です。
3. ドキュメント化する
命名規則をドキュメントにまとめ、チーム全員が参照できるようにしておきましょう。
4. 日付やバージョン番号を活用
テストキャンペーンや季節のキャンペーンには、日付やバージョン番号を含めると管理しやすくなります。
例:
Search_JP_Sale_2024Q4Display_JP_NewYear_202501
ラベルの活用
Google広告の「ラベル」機能を使うと、キャンペーン、広告グループ、広告、キーワードにタグを付けて管理できます。
ラベルの活用例:
- 「テスト中」ラベル:ABテスト中の広告
- 「高パフォーマンス」ラベル:成果の良いキーワード
- 「要改善」ラベル:改善が必要な要素
- 「2024Q4」ラベル:特定期間のキャンペーン
ラベルを活用することで、命名規則だけでは表現しきれない情報を付加できます。
まとめ
Google広告のアカウント構造は、効率的な運用と最適化の基盤となる重要な要素です。この記事のポイントを振り返ると:
-
アカウント構造の基本を理解する:
- 4つの階層(アカウント→キャンペーン→広告グループ→広告・キーワード)
- 各階層で設定できる項目を把握
- 良いアカウント構造のメリットを理解
-
目的に応じたキャンペーン設計:
- キャンペーンタイプ別に分ける
- 目的・目標別、予算別、地域別などで分ける
- ブランドキーワードと一般キーワードを分ける
- 分けすぎないことも重要
-
関連性を軸にした広告グループ設計:
- テーマ・キーワード群別に分ける
- 商品・サービス別、検索意図別に分ける
- 1グループ10〜30個程度のキーワード
- 広告文をキーワードに合わせる
-
一貫した命名規則を設定する:
- 管理効率化のためにルールを決める
- シンプルで一貫性のある命名
- ドキュメント化してチームで共有
- ラベル機能も活用
-
継続的な改善:
- 構造は固定ではなく、必要に応じて見直す
- データに基づいて最適な構造を探る
- スケールに合わせて調整
適切なアカウント構造は、一度設計したら終わりではありません。ビジネスの成長や市場の変化に合わせて、継続的に見直し、改善していくことが重要です。
この記事を参考に、自社に最適なアカウント構造を設計し、効率的なGoogle広告運用を実現してください。