ローカルLLM入門|Ollama・LM Studioの使い方
導入
ChatGPTやClaudeなどのクラウドAIサービスは便利ですが、「データをサーバーに送りたくない」「月額料金を払い続けたくない」という方もいるでしょう。そんな方におすすめなのが、自分のPCでAIを動かす「ローカルLLM」です。
本記事では、ローカルLLMの基本概念から、OllamaやLM Studioを使った具体的なセットアップ方法、そして実践的な活用例まで詳しく解説します。
ローカルLLMとは
基本概念
ローカルLLM(Large Language Model)とは、クラウドサービスに接続せず、自分のPC上で動作するAIモデルのことです。
クラウドAI(ChatGPT等)
- インターネット経由でサーバーに接続
- 入力データがサーバーに送信される
- 月額料金が発生(有料プランの場合)
- 最新・最高性能のモデルを利用可能
ローカルLLM
- 自分のPC上で完結
- データが外部に送信されない
- 一度セットアップすれば追加費用なし
- PC性能に応じたモデルを使用
主なオープンソースモデル
ローカルで実行可能なオープンソースのAIモデルには、以下のようなものがあります。
| モデル | 開発元 | 特徴 |
|---|---|---|
| Llama 3 | Meta | 高性能、商用利用可 |
| Mistral | Mistral AI | 軽量で高速 |
| Gemma | 小型でも高品質 | |
| Phi-3 | Microsoft | 超軽量、スマホでも動作 |
| Command R | Cohere | 多言語対応 |
必要なPC性能
ローカルLLMを快適に動かすには、それなりのPC性能が必要です。
最低限の要件
- メモリ:16GB以上
- ストレージ:50GB以上の空き容量
- CPU:最新世代のマルチコアプロセッサ
推奨環境
- メモリ:32GB以上
- GPU:NVIDIA RTX 3060以上(8GB VRAM以上)
- ストレージ:SSD 100GB以上
Apple Siliconの場合
- M1/M2/M3 MacはGPUを効率的に活用可能
- 16GB以上のユニファイドメモリがあると快適
メリット
プライバシーの保護
最大のメリットは、データが外部に送信されないことです。
プライバシーが重要なケース
- 機密性の高いビジネス文書の処理
- 個人情報を含むデータの分析
- 社内規定でクラウドAI使用が制限されている場合
- 医療・法律など専門分野での利用
コストの削減
一度セットアップすれば、利用量に関係なく追加費用がかかりません。
コスト比較
- ChatGPT Plus:月額20ドル × 12ヶ月 = 年間約36,000円
- Claude Pro:月額20ドル × 12ヶ月 = 年間約36,000円
- ローカルLLM:初期投資(PC性能向上)のみ
オフライン利用
インターネット接続なしで利用できます。
オフラインが便利なシーン
- 飛行機内や通信環境の悪い場所
- セキュリティ上ネット接続できない環境
- 通信コストを気にする必要がない
カスタマイズ性
モデルの調整や拡張が自由にできます。
- 特定分野のデータでファインチューニング
- 複数のモデルを切り替えて使用
- 他のローカルアプリケーションとの連携
セットアップ
Ollamaのインストール
Ollamaは最も簡単にローカルLLMを始められるツールです。
Macの場合
# Homebrewでインストール
brew install ollama
# または公式サイトからダウンロード
# https://ollama.ai
Windowsの場合 公式サイト(https://ollama.ai)からインストーラーをダウンロードして実行。
Linuxの場合
curl -fsSL https://ollama.ai/install.sh | sh
モデルのダウンロードと実行
# Llama 3 8Bモデルをダウンロード・実行
ollama run llama3
# Mistralモデルを実行
ollama run mistral
# 日本語に強いモデル
ollama run llama3:8b-instruct-q4_0
LM Studioのセットアップ
LM Studioは、GUIで操作できるローカルLLMアプリケーションです。
インストール手順
- 公式サイト(https://lmstudio.ai)からダウンロード
- インストーラーを実行
- アプリを起動
モデルのダウンロード
- 左側メニューの「Discover」タブを選択
- 使いたいモデルを検索
- 「Download」ボタンをクリック
チャットの開始
- ダウンロードしたモデルを選択
- 「Chat」タブで会話を開始
おすすめのモデル設定
一般的な用途(8GB VRAM以上)
- Llama 3 8B Instruct
- Mistral 7B Instruct
軽量環境(8GB未満)
- Phi-3 Mini
- Gemma 2B
日本語重視
- ELYZA-japanese-Llama-2-7b
- Japanese StableLM
コード生成
- CodeLlama
- DeepSeek Coder
活用例
日常的な文章作成
[Ollama / LM Studio]
以下のメールを丁寧な表現に書き直してください:
「明日の会議、14時でいいですか?」
コードの補助
[Ollama]
Pythonで、CSVファイルを読み込んで
売上の月別集計をするコードを書いてください。
文書の要約
機密文書もローカルで安全に処理できます。
[LM Studio]
以下の契約書の要点を箇条書きでまとめてください:
[契約書テキスト]
ブレインストーミング
[Ollama]
新しい健康食品のマーケティングアイデアを
10個挙げてください。ターゲットは30代女性です。
プログラミング学習
[Ollama]
ReactのuseStateフックについて、
初心者にもわかるように説明してください。
具体的なコード例も示してください。
他ツールとの連携
VS Codeとの連携
- Continue拡張機能:Ollamaと連携してコード補完
- 設定でローカルモデルを指定可能
Raycastとの連携(Mac)
- Raycast AI拡張機能でOllamaを利用
- ショートカットキーで素早くAI呼び出し
クラウドAIとの使い分け
ローカルLLMが適しているケース
- 機密データの処理
- コストを抑えたい日常的な作業
- オフライン環境での利用
- 特定用途に特化したカスタムモデルの利用
クラウドAIが適しているケース
- 最高性能が必要な複雑なタスク
- マルチモーダル(画像処理等)が必要
- 最新情報へのアクセスが必要
- PC性能が十分でない場合
併用のすすめ
両者を使い分けることで、最適なワークフローを構築できます。
例:文書作成フロー
- アイデア出し・下書き:ローカルLLM(コスト節約)
- 最終仕上げ・校正:Claude(高品質な結果)
例:開発ワークフロー
- 日常的なコード補完:ローカルLLM
- 複雑なアーキテクチャ相談:ChatGPT / Claude
まとめ
ローカルLLMは、プライバシー保護とコスト削減を両立できる魅力的な選択肢です。
始め方のおすすめ
- まずはOllama:最も簡単に始められる
- LM Studioも試す:GUIで使いやすい
- 自分のPC性能に合ったモデルを選ぶ:無理に大きなモデルを使わない
適したユースケース
- 機密文書の処理
- 日常的な文章作成の補助
- オフラインでの利用
- AIへの月額費用を抑えたい
ローカルLLMはクラウドAIの完全な代替ではありませんが、うまく使い分けることで、よりセキュアで効率的なAI活用が可能になります。まずはOllamaをインストールして、その手軽さを体験してみてください。